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大規模システムとプロマネ |
前ページへ (3/3) 失敗と成功の要因4.失敗と成功の要因 (1) 解 ・十分なトレーニングを実施する
・監査機能を有効に働かせる (2) マネジメント 筆者がこのプロジェクトに対して,具体的な手を打つとしたら,この2点に尽きる。
(3) 理由その1(トレーニング)もちろんモダンプロジェクトマネジメントの観点から,考えられる全ての手を打つことにはなろうが,今回のプロジェクトの成否を決定付ける要因としては,やはり教育と監査をいかに戦術的に織り込めるかといった戦略の設計がキーである。 プロジェクト管理の第一歩は準備フェーズが十分に考え抜かれているかどうかである。
(4) 理由その2(監査)このフェーズ自体は一見プロジェクトの進捗にあまり影響を及ぼしそうに見えないため,これまでのプロジェクト管理手法では,かなり甘く見ていた領域であると思われる。 プロジェクトの実行フェーズに突入してしまうと,現状に飲み込まれ必要な判断が出来なくなる。準備フェーズだからこそ,これから起こりうる状況を,時間をかけて頭の中で分析・シミュレーションすることが可能だ。 プロジェクトに対して戦略をもって成功を手中に収めるためには,準備タスク,計画タスクこそが知恵の使いどころと言える。 大きな艦隊を手足のように従わせることは並大抵のことではない。多くの団体競技がそうであるように,個々の選手や部隊が全体を想定して自らが自律行動をとれるようになるためには,訓練が必要である。 同じ理由から,巨大プロジェクトであっても全体が機敏に動けるようになるまでの十分な訓練がなされていれば,必要以上の混乱を回避しつつ,各プロジェクトのリーダが適切な判断を下しながら目標へ向かって行動できたはずである。ここで言う十分な訓練とは,技術面のことではなく,組織面のことである。 ある程度の規模のプロジェクトをマネジメントするには,必ず統治が必要となる。統治とは抑えつけることではなく,お互いの円滑なコミュニケーションの基で秩序ある動きを可能にするための必要最低限のルールであり,円滑なコミュニケーションとそれに沿った行動を取るための必要なルール作りと,そのルール下で適切な行動が取れるようになるための十分な訓練である。 これらは,プロジェクトの準備タスクに何らかの形で盛り込まれていることが必要である。訓練が自力で難しいのなら外部のコンサルティング会社に委託して,プロジェクトの体質強化・改善を短期間で目指せばよいし,このこと自体は別にITに限ったことでは無い。 最新のプロジェクト管理手法を駆使していても,プロジェクトの置かれている現状が見えなくなることがある。
マイルストーンに到達できず,しばしばリスケを行ったケースや,進捗の数字をあげることに執着し過ぎて,本当の報告(数字)があがって来なくなった場合に多く見られる。いかに上手にプロジェクトをコントロールしていたとしても,大規模プロジェクトにおいては,担当者一人一人の心理状況を最終判断者が把握して,報告の信憑性を推し測ることは出来ない。 また,プロジェクトの置かれている状況やバックグラウンドを知り抜いていればこそ,自分では冷静な分析をしているつもりでも,プロジェクトの状態を結果的に色眼鏡で見ているといったことに陥りがちである。この現象は,同じ部署内の人間はもとより,大きな命題の下で同じ目的意識をもった仲間であれば,たとえ経営層の人間であろうとも同じ事である。 これを回避する方法がひとつある。それは,外部監査を受けることである。外部のシステム監査またはプロジェクト診断を生業にしているコンサルタントに頼むことである。 金融の場合は,内部監査に始まり,日銀監査,金融監督庁のハザードが準備されてはいるが,「金融システムの再生」の政治的な旗の下では,同じバックグラウンドを共有する“身内”であると言え,このあたりが,監査体制が機能しなかった理由であろう。プロジェクトの節目・節目にあわせて抜き打ちでの監査を実施することで,プロジェクトの状態をより裸に近い状態で測ることが可能となる。 正確に測る事さえ出来れば,制御は可能なはずだ。裏を返せば,正確に測れていなければ,プロジェクトを成功へ導くことは博打レベルになってしまう。 5.最後に みずほの教訓などと世間で言われ,また,頑張れなどと情けを掛けられ,プロジェクト関係者はさぞ悔しい想いでいる事だろう。こんな事を世間に言わせない為には,次の一手が重要であるし世間もそれを見ている事だろう。ぜひとも,日本型組織がまだまだ沈んでない事を世界に向かってアピールして欲しいと切に願う次第である。
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