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大規模システムとプロマネ |
(1/3) 次ページへ 選択1.はじめに 先般みずほ銀行のシステム統合にて大きな障害が発生した。原因はいろいろと世間で取りざたされてはいるが,根本原因の究明には至らず,複数の原因が断続的に発生したための障害であるように言われている。金融システムに10年以上携わった筆者の目から客観的に見ても,みずほの選択した戦略は正しかったように思える。では,いったい何が足りなかったのだろうか。
2.選択 (1) 戦略と選択 そもそも,システム上の戦略などと言うものは,経営戦略の延長線上にあるべきものだ。もちろんいくつかの例外はあるかも知れないが,一般的には経営戦略が固まり,次いでシステム化の戦略が決まっていく。
(2) 選択の一手<1>しかし,現在の銀行ではこの理屈が通用しない。システムは銀行の重要な業務の一部であり,一瞬たりとも営業時間中に停止することは許されず,これが止まることはビジネスが止まることを意味する。 他の業種においても,システムが業務に与える事においては,影響の大小はあろうが,同じような事が言える。しかし,電気・ガス・水道と同等のライフラインとしての役割を考えた場合,銀行のシステムはその重みが違う。 こういった意味で,銀行におけるシステム化戦略の策定は経営戦略の策定と同等の重要成功要因(CSF)であり,システム化戦略を抜きにして経営戦略を推し進めることは出来ない。 統合前にどのような選択肢があったか,主要な選択肢をいくつか考えてみると,全てを捨てシステムの再構築を行う案が思い浮かぶ。
(3) 選択の一手<2>しかし,参加行全ての顧客のデータを新システムへ移行するだけで,いったいどのくらいのシステム開発が必要になるか,想像しただけでも気が遠くなるような工数が必要だ。 まして,複数の銀行の合併は決断から実施までを,出来る限りスピーディーに執り行う必要があり,もたもたしてしまっては,決断の意味が無くなるどころか,弊害すら出てくる可能性がある。 この決断から合併までの限られた時間とスケールの中で,新システムを一から開発することは,実質的に不可能であり,たくさん技術者を集めればそれで解決できるような単純な問題ではない。 次に思い浮かぶ手は,どこか1行のシステムを採用して他行はそのシステムに相乗りすると言うものだ。これにも欠点が見え隠れする。
銀行のシステムはATMから現金を引き出す処理のレスポンスはもとより,夜間の口座引き落とし処理等のさまざまなバッチ処理が翌日までに完了するかなど,時間との勝負が無数に点在し最大の課題となっている。 参加行全ての顧客データを統合した場合,果たしてこの重圧に耐えうるものなのだろうか? そもそも,都銀のシステムは第3次オンラインシステムとして10年以上前に構築されたものであり,その設計ともなるとさらに4年〜5年前ということになる。10年以上頻繁に改訂が行われ老朽化したソフトウェアに対して,データの移行を手掛けるだけでも大変なことであるが,データを統合し,さらに,15年前のアーキティクチャで設計されたシステムに載せて,果たしてレスポンスが保証できるのか? また,統合後すぐに新システムの開発に着手するとはいえ,少なくとも3年程度はシステムを維持していかなければならず,スパゲッティー状態となり複雑化したシステムを維持することが現実的にメリットがあるか? これらの点を考えると,この選択肢も消える。他にもいくつかの選択肢が考えられるが,最有力候補はこの二つと,残りは今回みずほが選択した手段ということになる。 (1/3) 次ページへ |
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